今回は桜美林大学の卒業生である鈴木さんにお話しを伺いました!在学中は日本語教育を専攻しており、LAGOでオーストラリア、日本語パートナーズでマレーシア、そして海外日本語教育実習でタイに。3度の海外経験を経て、卒業後は日本語学校やNPO法人で非常勤講師として働かれたご経験をお持ちです。そして現在は、アメリカの大学院で日本語教師として働きながら大学院生として研究を行う、二足のわらじを履く生活をされています!国内外ともに日本語教育に携わった経験があり、海外経験も豊富な鈴木さんのお話をシェアしちゃいます!
「日本語教員養成課程って興味あるけど、どんな就職先があるの?」「外国の大学院に進学してみたい!」そんな方はぜひご覧ください!
日本語教師について
日本語教師になるために、3つのルートがあります!簡単に紹介しますが、関心がある方はぜひ詳しく調べてみてください♪
大学生時代
LAGOで留学へ
LAGOは1年秋学期か2年春学期の時期に渡航するプログラムで、選抜なしで4ヵ月現地大学に留学することができます。鈴木さんは高校の修学旅行で3日間オーストラリアに行った経験があり、その短期間でも英語力の伸びを実感したそう!より英語を上達させたいという思いで1年生の秋学期にLAGOに参加したそうですが、最終的にはこの留学が鈴木さんのキャリアやその後の進路に大きな影響を与えることとなります。
日本語教育への関心のきっかけ
留学では多様な文化、言語や出会いがあり、沢山の人の温かさに触れられたそう。同時に、異文化交流や異なる言語に触れる楽しさを感じ、このような環境で仕事ができる日本語教育に興味を持ち始めます。また、現地の友達に言語を教え合う中で自信を持って日本語を教えることができなかったことがあったようで、せめて自分の文化や言語くらいは自信をもって人に伝えられるようになりたい!と感じ、日本語教育学(旧カリキュラム)をメジャーにすることに決め、2年次には日本語パートナーズでマレーシアへ、3年次では海外実習でタイへ行く経験へと繋がっていきました。
日本語教育を海外で学ぶ
日本語パートナーズはマレーシアのマラ工科大学で2か月間、現地大学に通う日本語学習者に対し授業のアシストや日本文化の紹介などに取り組むことができるプログラムです。
現在は桜美林大学に日本語パートナーズに参加できるプログラムはありませんが、鈴木さんは2年生の春学期に約2か月間このプログラムに参加し、クラスの音読のサポートや教材作成を行い、文化交換として互いの国の伝統的なダンスを教え合ったり、折り紙で作品を作ったりするなどの活動を行いました。
その後3年の春休みに3週間、海外教育実習としてタイのサイアム大学で初級日本語クラスを担当されました。こちらは実際に一人で教壇に立ち、120分間計5回の授業をするという内容でした。
2つの国で日本語教育に関わった経験から、海外と日本の日本語教育現場の違いについて体感し、実際に現場に行って肌で感じることの大切さを学ばれました。また、留学で行ったオーストラリアも含めた3ヵ国の異なる宗教観にも触れ、その違いからも学びを得たようです。日本人が宗教に持つイメージとは全く異なり、宗教が人々の心の拠り所的存在なっており、人々が悩みを共有して支え合っているのが印象的だったそうです。
進路について再考する
3年生の就職や進路について考える時期で、大学院に進むか就職するかで悩まれたそう。幼い頃から大好きだったテーマパークの会社に入ることを志しており、その夢は健在ではありましたが、大学に入ってのめり込んでいった日本語教育の世界をより深く追求する大学院進学の道も諦められなかったそうです。サービス業を中心にインターンシップにも参加していましたが、タイの教育実習の日程と志望する会社のインターンシップの日程が被ったときに、海外教育実習を選んだことから、自分は日本語教育の道に進むのだ!と決意されたようです。
4年生に進学する直前の3月から大学院進学のための勉強をスタートさせますが、その結果は残念ながら望んでいたものではありませんでした。そこで日本語教師として現場経験を積むことを決心し、日本語学校で働き始めます。
卒業後
日本語教師としてのキャリアをスタートさせた2年
日本語学校での勤務では、指導教員から授業や教案について教えていただくことができ、授業づくりの基盤ができたそうです。2年ほど日本語学校で非常勤講師として働きながら、2年目からはもともと興味があった海外にルーツのある子どもたちへの日本語教育学に関連したNPOでも仕事をし始めました。そこでは学習支援や日本文化の紹介も行いながら、子どもたちと接する経験を積んでいきました。
アメリカの大学院への進学
鈴木さんは、大学時代の年少者に対するボランティアやNPOでの経験を通して「海外にルーツを持つ子どもたちの力になりたい」という思いを常に心に抱くようになっていきました。しかし同時に、悩みを抱える子どもたちの気持ちを100%理解してあげられないことへのもどかしさを感じるようになっていきました。また、日本の学校教育現場と日本語教育現場のシステムが全く違うことも体感し、子どもたちの力になるためには日本語教育学だけでなく教育学の知識も必要だと考えるようにもなります。
子どもたちの気持ちを少しでも理解できるよう、日本人の少ない場所でマイノリティの立場になるとはどのようなことなのかを経験する必要があると感じたのに加え、英語力向上が期待できて教育学の修士号が取れるCarthage大学院のTarget Language Expert programへの進学を決意しました。そして現在希望の大学院に進学され、修士号の取得のための論文執筆と同時に大学の日本語クラスで日本語教師として働かれています。
挑戦心の根源
卒業後のみならず在学中も様々なことに挑戦していった鈴木さん。そのモチベーションや軸として持っていた考えとして「人間力を高める」「海外ルーツの子どものために」という2つの点を大切にしていたそうです。
人間力の向上
実は大学受験の際、鈴木さんは桜美林大学の志望度は決して高く無く、大学入学後も授業に対するモチベーションが上がらなかったそう。そこで、とある教授が話を聞いてくださったときにかけられた言葉がきっかけで、できることをとにかく挑戦しようという気持ちが芽生えました。
その教授は「他の大学に比べて桜美林大学は『頑張っている学生』がすごく多い。その環境の中で、大学名に囚われず自分がどれだけ頑張るかで将来は全く変わるよ。」とおっしゃったそうです。大学生活の中で人間力をどれだけ高められるかが大切なんだ!と感じ、これまでの経験に繋がっていったと語っていました。
GSの存在
また、鈴木さんは大学時代に”Global Supporters”という桜美林大学の国際交流団体に所属されていました。学年関係なく様々なことに挑戦する学生が多く所属しており、やる気やモチベーションが高い人ばかりだったため「自分も負けてられない!」と周りの環境にも感化されたそうです。在学中は国際交流イベントを数多く企画・運営し、総括も行われていました。
より良い子どもの教育のために
加えて、実際に教育現場に携わるようになってからは、子どもの教育現場を整えるために必要なことを積極的に習得していったそうです。「海外にルーツを持つ子どもたちの力になりたい」という思いのもとこれまで様々な活動や知識の習得を行われてきましたが、現場で目の前の子どもの手助けができても、それは根本となる制度や環境の改善には繋がりません。より知識や経験を身に付け、現場のみならず現状を根本から改善できるような人にもなりたいとおっしゃっていました。今後の進路は未だ悩み中ではありますが、大学の教授になって日本語教育学という学問にアプローチすることも視野に入れているそうです。
大学生の皆さんへ
最後に大学生に向けてアドバイスをいただきました。
「やってみなきゃわからない」
”大学生は唯一、大人で自己判断もできる年齢ながら「大学生」として守られている時期です。自分がもしやってみたいなとか、怖いけど挑戦してみたいなと思うことがあれば、とりあえずやってみてだめだったらまた考えればいいと思います。ちょっとでもやってみたいと思えたらぜひ挑戦してみてほしいと思います!”